事業や職種の垣根を超えたシナジーを生み、サービスの高付加価値化を目指す:執行役員・CCO・プロフェッショナルサービス事業部長 Keijiro Toyoda / @toyojuni

 
目次
 
ーー現在のお仕事内容について教えてください。
 
経営メンバーとして、事業部間のシナジーや組織づくりを加速させるためのアクションを考え、実行しています。また、それらのアクションの裏側にある考え方をメンバー全員に伝えることも重要なミッションと捉え、実践しています。
プロフェッショナルサービス事業部長としては、事業戦略の策定に加え、それに紐づく組織づくりを進めています。実務面では、DevRel等のマーケティング施策と、社外の様々なセキュリティエンジニアとのリレーションを構築するための採用施策の2軸で活動することが多くなっています。
 

デザイナーとしてのキャリアを活かし試行錯誤

 
ーーこれまでのキャリアについて教えてください。
 
ファーストキャリアはデザイナーでした。大学時代に所属していたデザインサークルでデザインスキルを学び、様々な企業や団体から仕事の依頼を受けていました。
個人としてもデザインの仕事をする中で、大学2年生だった2016年に株式会社ラブグラフのインターンシップに参加しました。今であれば大学生がスタートアップのインターンに参加することは珍しくないと思いますが、当時はまだ珍しいことでした。このことがきっかけで、当時メルカリのインターンに参加していた井手(現・代表取締役CEO)とTwitter経由で知り合い、親交を深めました。その後、起業する井手の誘いを受け、2017年5月に株式会社Flatt(現・Flatt Security)を共同創業することになりました。
 
ーー創業後もデザイナーとしてキャリアを積んでいたのですか?
 
創業時はライブコマース事業を運営していたのですが、その当時はやはりデザイナーとしての活動がメインだったように思います。
2019年に事業をピボットし、新たにサイバーセキュリティ事業を始めることになりました。それまでデザイナーとしてキャリアを積んできた僕にとってサイバーセキュリティは未知の領域で、事業開始から2年ぐらいは手探りで試行錯誤を繰り返していました。メンバーの入れ替わりなどもあり、僕だけではなく会社のメンバー全員が暗中模索を続けていた時期でした。
この頃からデザイナーとしての経験を活かしながら、マーケティングやDevRel等の社外とのリレーション形成に関する業務に携わる機会が増えました。
 

暗中模索の日々が終わり、事業・組織が急拡大

 
ーーそこから事業をリードする立場となるわけですが、転機はいつだったのでしょうか?
 
2021年末頃に「プロダクト開発組織のためのセキュリティ」という弊社の強みが言語化できたことが転機につながったように思います。プロダクトセキュリティスタートアップとして、自分たちがやるべき道筋が明確になりました。また、僕が正式にプロフェッショナルサービス事業部長に就任し、プロフェッショナルサービス事業をビジネス面から統括することになったのもこの時期です。
 
技術ブログ記事内に掲載される解説図やサムネイルも作成
技術ブログ記事内に掲載される解説図やサムネイルも作成
 
ーーその後、現在に至るまでどのようなアクションを取ってきたのでしょうか?
 
事業のターゲットがプロダクト開発組織であるということが明確化されたので、まずDevRelに注力しました。ターゲットとなる層に刺さるようなコンテンツを発信することで認知・リードを獲得したいという考えから、2022年に入ってからは技術ブログの本格運用を始めました。
運用を始めてからは、発信される全ての記事のレビューを行い、わからないことがあれば執筆したエンジニアに聞く、ということを繰り返していました。そうすることで、自ずとセキュリティ領域の知識も習得することができました。また、当初の目的であったリード獲得を果たすだけでなく、全社的な技術ブランディングを高めることもできました。
また、これと並行してサービスのさらなる質向上も目指しました。セキュリティ診断ではコピー&ペーストするだけですぐ動作するようなJavaScriptのPoCを掲載したMarkdown形式の報告書を提供したり、診断業務効率化・品質向上をサポートする診断プラットフォームORCAs(オルカス)の開発にますます注力したりするなど、様々な取り組みを進めていきました。
 
 
今振り返ってみるとかなり泥臭くやってきたのだと思います。現在社内にいるメンバーも、2021年末以降に入社したメンバーがほとんどです。組織も事業も急スピードで成長し、成熟しつつあるように感じます。

フラットで職種の垣根なく議論できる組織文化

 
ーープロフェッショナルサービス事業では現在どのようなサービスを展開していますか?
 
現在は主に以下のサービスを提供しています。
  • セキュリティ診断:プロダクトに対する精緻なセキュリティ評価を行う脆弱性調査/分析サービス
  • KENRO:Web開発に必須のセキュリティ技術を演習形式で学べるセキュアコーディング学習プラットフォーム
 
ーープロフェッショナルサービス事業部にはどのようなカルチャーがあると思いますか?
 
プロフェッショナルサービス事業部は、高い技術力を持つエンジニアが過半数を占めている組織ですが、技術一辺倒な組織でないという特徴があります。技術的な面白さを大切にしつつも、広い視野と倫理観を持ってサービスや事業のあり方を考えています。技術組織としてのエンジニアリングカルチャーはありつつも、ユーザーファーストな事業設計を常に考えているという、独特な組織なのではないかと思います。
 
職種の垣根を超え、メンバー間での議論やコミュニケーションが活発
職種の垣根を超え、メンバー間での議論やコミュニケーションが活発
 
ーープロフェッショナルサービス事業部にはどのようなメンバーが集まっていますか?
 
プロフェッショナルサービス事業部は、セキュリティエンジニア、プロジェクトマネジメント(PM)、セールス、事業開発のメンバーで構成されています。相手の意図を汲みながら、相手の目線に立ってコミュニケーションが取れるメンバーが多い印象です。
事業部としてユーザーに寄り添った形でのサービス提供を常に意識しているので、コミュニケーションを重視した組織づくりを行っています。そのため、異なる職種・職能のメンバー間でも互いに敬意を払いながら仕事をするカルチャーが醸成されています。社内勉強会や社内ブログを通じてメンバーそれぞれの知見を組織に共有する仕組みも整っており、職種の垣根なく、日々活発な議論が飛び交っています。
 
事業部という形は取りつつも、事業部の垣根を意識せずに活躍しているメンバーが多いのも特徴の1つかもしれません。セキュリティプロダクト事業部で展開しているShisho Cloudの開発に携わっているメンバーもいますし、お客様のご要望に応じてShisho Cloudと組み合わせた形でサービス提供を行う場合もあります。全社的にコミュニケーションや情報共有が活発なため、このようなスムーズな連携が可能になっているように感じます。
 
ーーチーム構成はどのようになっていますか?
 
プロフェッショナルサービス事業部においては明確なチーム分けは存在していません。
企業によっては、Webアプリケーション診断やプラットフォーム診断といった診断メニューに応じてチームが分かれている場合も少なくないと思います。この場合、特定領域に特化してスキルを強化しやすい環境にはなっていますが、自分が担当する領域以外の技術領域に手を広げる機会は限られてしまいます。
そのため、弊社ではそのようなチーム分けをせずに、各メンバーの志向に応じて、得意領域だけでなくチャレンジしてみたい領域にも取り組めるようプロジェクトメンバーをアサインしています。
 

サービス品質の向上と積極的な情報発信により信頼感を獲得

 
ーープロフェッショナルサービス事業CTOであるGa_ryo_さんとはどのように役割分担をされていますか?
 
Ga_ryo_さんに技術統括としてサービスの品質や利用者体験の向上に取り組んでもらっているので、それを僕がマーケティングや採用などの面からサポートするような形で協力しながら事業運営をしています。どんなに良いサービスでも、その良さやサービス提供者である僕たちFlatt Securityへの信頼感がないと利用していただけないので、DevRelとしてサービスそのものだけでなく、弊社のエンジニアリングカルチャーや技術力についても積極的に発信を続けています。
 
ーープロフェッショナルサービス事業部長として、直近ではどのようなことに取り組んでいますか?
 
サービスに関する取り組みで言うと、最近ではセキュリティコンサルティングへの注力を進めています。SaaS等のWebプロダクトの設計段階におけるセキュリティレビューをお客様からご要望いただく場面も多く、セキュリティ診断に留まらない複合的なプロフェッショナルサービスの提供に取り組み始めているように感じています。
DevRelに関しては、引き続きDevelopers’ QuizやCTFの開催、技術カンファレンス等への協賛など、多様なチャネルでの施策展開を進めています。また、2024年3月からは外部執筆者による技術ブログ発信の試みを開始しました。自社だけでなく、幅広い業界のセキュリティの専門家の方に知見を共有いただくことで、プロダクトセキュリティのコミュニティ全体のさらなる発展に貢献できればと考えています。
 
▼プロフェッショナルサービス事業部の2023年の主な施策
 
2023年度から採用施策を積極的に展開した結果、事業部のメンバーも増加を続けています。各職種のメンバーがオーナーシップを持ってオンボーディング体制の整備を進めてくれたおかげで、新卒/中途の区分を問わず、新たに入社したメンバーがすぐに活躍しやすい環境ができました。
 
ーーこれまでエンジニアではないキャリアを歩まれてきたと思いますが、プロフェッショナルサービス事業部長のお仕事のやりがいはどこにあると感じていますか?
 
顧客企業のエンジニアの皆さんが取り組まれているものづくりに貢献できることですね。
プロダクト開発に携わられているエンジニアの方々は、クリエイターとして日々高い価値を提供されています。そのような方々を支えていくことができる環境はなかなかありません。
お客様とお話をしていると、皆様プロダクト開発に本気で取り組まれていることがひしひしと感じられ、それもまた自分のモチベーションにつながっています。本気でものづくりに向き合うクリエイターの皆様と向き合える環境は非常に刺激的ですし、そのような方々にサービスをご評価いただけると感激もひとしおです。高い熱量を持ったお客様からエネルギーをいただいて、僕も高い熱量を持ってこの仕事に向き合えています。
 
いわずもがなではありますが、弊社のエンジニアも全員同様の高い熱量を持ってサービス提供に取り組んでいますし、世界クラスと言える技術力を持つ、誇れるメンバーばかりです。みんなの人生の貴重な時間を賭けてもらっている職場であることも、自分のやりがいやモチベーションを大きく底上げしています。
 

事業シナジーを生みながら、プロフェッショナルサービスの高付加価値化を目指す

 
ーー今後、プロフェッショナルサービス事業部長として取り組んでいきたいことがあれば教えてください。
 
プロフェッショナルサービスでは、サービスの品質を追求する上で「人が全て」と言っても過言ではないと思います。サービスの品質を担保するには仕組みによる解決が必要不可欠ですが、その仕組みを作るのは結局「人」だからです。
高い技術力と、お客様の目線で考えられる力を兼ね備えているメンバーをこれからもどんどん増やしていきたいです。そのためにも、お客様にとって本当に必要なサービスを、メンバーみんなで楽しみながら作っていけるようなカルチャーを今後も醸成していきたいと考えています。
 
DevRelにもかなり注力してきましたが、まだまだ成長の余地があると思っています。日本国内の全ての開発組織に認知されることを目下の目標に、さらなる施策展開を推し進めていきたいです。年次を問わず、全ての開発者に「プロダクトセキュリティの専門家集団といえばFlatt Security」と想起していただけるようになれるよう、認知獲得に向けたアクションを加速させていきます。
 
プロフェッショナルサービス事業部はまだまだ道半ばです。売上規模も組織体制も成長の余地があります。メンバーの皆さんが高い熱量を持ちながら働くことのできる組織となっていくためには、売上を成長させ、社会に会社の価値が定量的に示されている状態にしていくのは必要不可欠だと考えています。一方で、定量的な成長だけでは達成できない成果も存在すると思います。カルチャーはその最たる例です。定量面でも定性面でも成長を実感できる組織にするために、今後多角的なアプローチで施策を検討していきたいです。
 
ーーセキュリティプロダクト事業部も巻き込んで、全社的なアクションとして取り組んでいきたいことはありますか?
 
Shisho Cloudによる自動化やデータの可視化を活用して、高付加価値のプロフェッショナルサービスを提供するために現在進行系で検討を進めています。
プロフェッショナルサービス事業部は人だけが生むことのできる価値を提供する部門で、セキュリティプロダクト事業部はソフトウェアによる自動化を通じて価値を提供する部門です。この2つの異なる価値を組み合わせることで、お客様にとってより良いサービスの形になると確信しています。
 
ーーこれからのプロフェッショナルサービス事業部にはどのようなメンバーが必要だと思いますか?
 
新たなサービスの開発やサービスの品質向上に、職種や事業部の垣根なく、みんなで向き合っていける方に来ていただきたいですね。
プロフェッショナルサービスの提供価値の拡大に伴い、お客様に対して提供できるサービスの幅も確実に広がります。お客様のプロダクトセキュリティ施策をサポートするだけでなく、プロダクトセキュリティに対する意思決定までをもサポートできるようになり、これまで以上に多様な技術組織の方々と関わることができると思います。
 
これからのプロフェッショナルサービス事業部が、より刺激的な環境になるのは間違いないと思います。職種を問わず、新たなメンバーを歓迎していますので、この記事を読んで少しでもご興味を持っていただけた方はぜひカジュアル面談でお話しましょう。
 

プロフィール

東京大学工学部航空宇宙工学科卒。東京大学在学中に株式会社ラブグラフでのインターンやフリーランスでデザイン制作に幅広く携わる。2017年、代表取締役CEOの井手とともに株式会社Flatt(現株式会社Flatt Security)を創業。 CCO(チーフクリエイティブオフィサー)としてデザイン全般の統括を担うほか、執行役員としてプロフェッショナルサービス事業部を統括。プロフェッショナルサービス事業における事業戦略の策定から開発者向けマーケティング(DevRel)の実行まで幅広い領域を管掌する。